富裕層・資産家が知っておくべき相続対策について弁護士が解説

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不動産や自社株、金融資産など多くの財産をお持ちの方にとって、相続は「どれだけ税金がかかるか」だけの問題ではありません。財産が多く、種類も多様であるほど、遺産の分け方をめぐって親族間の争い(いわゆる「争族」)に発展しやすくなります。

このページでは、富裕層・資産家の方が生前に取り組んでおくべき相続対策について、相続問題を数多く扱ってきた弁護士の視点から解説します。

富裕層・資産家の相続で「争族」が起きやすい理由

「うちは家族の仲が良いから大丈夫」とお考えの方も少なくありません。しかし、富裕層・資産家の相続には、争いが起きやすい構造的な理由があります。

分けにくい財産が多い

不動産や非上場株式(自社株)は、現金のように1円単位で分けることができません。「誰がどの不動産を取得するか」「会社の株式を誰が引き継ぐか」をめぐって、相続人の利害が対立しやすくなります。

財産の評価をめぐって意見が分かれる

不動産や自社株は、評価方法によって金額が大きく変わります。同じ財産でも「相続税評価額」「固定資産税評価額」「実勢価格(時価)」などがあり、どの金額を基準にするかで各相続人の取り分が変わるため、争いの火種になります。

相続人の数や関係が複雑になりやすい

再婚による前婚の子、養子縁組、認知した子など、相続人の構成が複雑なケースもあります。また、生前に特定の相続人だけが多額の援助(住宅資金、事業資金など)を受けていた場合、「特別受益」として不公平感が生じやすくなります。

金額が大きいぶん、一人ひとりが譲りにくい

遺産総額が大きいほど、わずかな割合の差でも金額にすると大きな差になります。そのため、相続人が互いに譲歩しにくく、話し合いが長期化する傾向があります。

遺留分をめぐるトラブルが起きやすい

遺言書で特定の相続人に財産を集中させた場合でも、兄弟姉妹以外の相続人には最低限の取り分である「遺留分」が保障されています。遺留分を侵害された相続人は、財産を多く受け取った人に対して金銭の支払いを求めること(遺留分侵害額請求)ができます。遺産額が大きいほど請求額も高額になり、深刻な紛争に発展するおそれがあります。

富裕層の相続対策で押さえるべき3つの対策

富裕層・資産家の相続対策は、「遺産分割対策」「納税資金対策」「相続税対策」の3つをセットで検討することが重要です。どれか一つだけを優先すると、他の面で問題が生じることがあるためです。

遺産分割対策

遺産分割対策とは、「誰に、どの財産を、どれだけ引き継がせるか」を生前に整理し、相続人間の争いを未然に防ぐための対策です。具体的には次のような方法があります。

  • 遺言書の作成:最も基本的かつ重要な対策です。形式の不備による無効リスクや紛失のおそれが少ない公正証書遺言がおすすめです。
  • 遺留分への配慮:特定の相続人に財産を集中させる場合は、他の相続人の遺留分を踏まえた配分や、遺留分の支払原資を用意しておくことが大切です。また、家庭裁判所の許可を得て生前に遺留分を放棄してもらう方法もあります。
  • 付言の活用:遺言書に「なぜこのような分け方にしたのか」という想いを残すことで、相続人の納得を得やすくなります。
  • 家族信託の活用:認知症による資産凍結に備えたり、数世代先までの資産承継を指定したりすることができます。
  • 事業承継の準備:会社経営者の方は、後継者に自社株を集中させる仕組みづくりも重要です。
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納税資金対策

相続税は、原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、現金で一括納付する必要があります。資産家の方は財産の多くを不動産や自社株でお持ちのことが多く、「財産はあるのに税金を払う現金がない」という事態に陥りがちです。

納税資金が足りないと、不動産を急いで安値で売却せざるを得なくなったり、その売却をめぐって相続人間で対立が生じたりすることがあります。主な対策は次のとおりです。

  • 生命保険の活用:死亡保険金は受取人固有の財産とされ、速やかに現金化できます。また、「500万円×法定相続人の数」までは相続税が非課税となります。
  • 財産の組み替え:収益性の低い不動産を生前に売却し、分けやすく納税にも充てやすい資産に変えておく方法です。
  • 延納・物納の検討:一括納付が困難な場合の制度もありますが、要件が厳しいため、あらかじめ検討しておくことが大切です。

相続税対策

相続税は累進課税であり、適切な対策を行うかどうかで、最終的な税負担が大きく変わります。代表的な対策は次のとおりです。

  • 生前贈与:暦年課税(年110万円の基礎控除)や相続時精算課税制度、教育資金・住宅取得資金の非課税特例などの活用が考えられます。
  • 小規模宅地等の特例:自宅の敷地を配偶者や同居親族が相続する場合、330㎡まで評価額が80%減額されるといった特例があります。誰が取得するかによって適用の可否が変わるため、遺言の内容とあわせて検討する必要があります。
  • 不動産の活用:賃貸物件の取得などにより評価額を圧縮する方法ですが、最新の制度を踏まえた慎重な検討が必要です。
  • 自社株対策:株価対策や事業承継税制(納税猟予制度)の活用により、後継者の負担を軽減できる場合があります。

節税だけでなく、将来の親族間のトラブル(遺留分など)を防ぐ法的な対策ができる

弁護士は、実際に相続紛争の交渉や調停・訴訟を扱っているため、「どのような場合に争いが起きるのか」を具体的に想定したうえで対策を立てることができます。

  • 遺留分や特別受益を踏まえた、紛争になりにくい遺言書の設計
  • 遺言能力や形式をめぐる「遺言無効」の主張への備え
  • 家族信託や任意後見契約など、法律行為を伴う対策の契約書作成
  • 遺言執行者として、相続開始後の手続きを確実に実行

万が一、相続開始後に紛争が生じた場合も、生前対策の経緯を把握した弁護士が引き続き対応できることも大きな安心材料です。

税理士などの他士業と連携し、税務と法務の総合的なサポートが可能

富裕層の相続対策は、法律・税務・登記など複数の分野にまたがります。当事務所では、相続に精通した税理士や司法書士などの専門家と連携し、弁護士が窓口となって総合的にサポートします。

そのため、「税金面では有利だが、相続人間の公平性を欠く」「法的には問題ないが、納税資金が足りない」といった偏りのある対策を避け、税務と法務の両面から最適なプランをご提案できます。複数の専門家をご自身で探して個別に相談する手間も省けます。

資産家の相続や生前対策のお悩みは当事務所へご相談ください

富裕層・資産家の相続対策は、財産の内容やご家族構成によって最適な方法が大きく異なります。また、生前贈与のように時間をかけるほど効果が高い対策もあるため、お元気なうちに早めに着手することが大切です。

すがの総合法律事務所では、相続分野に注力する弁護士が、お客さまの資産状況やご希望を丁寧にお伺いしたうえで、遺言書の作成、家族信託、事業承継など、税務と法務の両面から最適な相続対策をご提案いたします。

「何から始めればよいか分からない」「今の対策で十分か確認したい」といった段階でも構いません。資産家の相続や生前対策でお悩みの方は、まずはお気軽に当事務所へご相談ください。

執筆者情報

菅野亮
菅野亮
当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。北海道札幌市で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
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