無理な主張をする相手から特別受益も考慮された代償金を獲得した事例

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依頼者情報

1.遺産額:1億円

2.相続財産の種類:収益不動産、実家(土地と家)、預金・金融資産

3.争点別:遺産分割

4.相続人との関係:実の兄弟

 

事案の内容

お客様のお母様がお亡くなりになり、相続人はお客様(長女)と長男の二人がいました。

お母様は長期間にわたり長男と同居して生活し、その後施設に入所していたのですが、その財産は長男が管理していました。

お客様は、長男から、「母の遺言があって自分が全部相続することになるから相続を放棄してくれ。」と要求され、それを断ると「裁判にする!」と言われ、話し合いができない状況でした。

 

当事務所の活動内容

当事務所にて、「公正証書遺言があるかどうかについては公証役場で調べることができる」とアドバイスし、お客様は公証役場でお母様の遺言があるかどうかを確認しました。

その結果、公正証書遺言は存在しないことが判明しました。

 

遺産分割協議が進展しないので、お客様は当事務所に長男との遺産分割の交渉をご依頼しました。

当事務所は、長男に対し、自筆の遺言書が存在するかどうか、お母様の遺産としてどのようなものがあるか、保険金の受取はあるかなど、遺産に関する情報の開示を求めました。

長男は相続税申告を税理士に依頼しており、当事務所は、その長男の依頼した税理士を通じて遺産に関する資料を取得しました。

 

これらのやり取りを通じて、遺産の内容と、実際は遺言書が存在しないことが確認できました。

その後、長男から、当事務所に対し、「不動産、預金などすべての遺産を自分が取得し、長女には法定相続分2分の1の代償金を支払う。」との提案を受けました。

長男は、生前にお母様から約400万円の贈与を受けていましたので、当事務所は、長男が受けたこの贈与を特別受益として主張しました。

長男は、当事務所の主張を受けて、特別受益に該当する分の金額を増額し、依頼者の取得金額は法定相続分よりも200万円増額しました。

 

結果

その結果、以下の遺産分割協議がまとまりました。

・すべての遺産を長男が取得する。

・長男は、遺産を取得した代償金として、お客様に約5200万円の代償金を支払う。

 

処理のポイント

法律的に無理な要求を押し通そうとする相続人がいると、話し合いが全く進まないことがあります。

本件でも、お客様は長男から相続放棄を要求されていましたが、弁護士が介入することで、そのような要求はなくなり、法定相続分を踏まえた適正な話し合いをすることができました。

 

また、本件では特別受益が問題となりました。

生前に相続人の一人が被相続人から贈与を受けている場合、特別受益に該当する可能性があります。

特別受益に該当する場合、贈与の分は遺産の前渡しとして差し引かれることになり、本件では、弁護士が長男の特別受益を主張し、お客様の取得分が増加することになりました。

執筆者情報

菅野亮
菅野亮
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