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相続が発生すると、多くの場合、遺産には現金や預貯金だけでなく、不動産も含まれます。しかし中には「預貯金は相続したいが、不動産は相続したくない」という相続人も少なくありません。理由は様々ですが、不動産は現金化しづらく、管理や維持に手間と費用がかかるため、使い道がなければ負担になってしまうことが大きな要因です。
本記事では、弁護士の視点から、不動産を相続せずに預貯金のみを取得する方法や注意点、特に山林・農地など売却困難な不動産への対応、不動産相続に伴う費用、手続きの流れまで詳しく解説します。
Contents
不動産を相続したくない場合の遺産分割の方法
不動産を相続せず、預貯金などの流動資産のみを取得するためには、**遺産分割協議**でその旨を合意する必要があります。
代償分割による方法
相続財産が「預貯金1,000万円」と「不動産2,000万円」の場合、不動産を相続しない代わりに、預貯金やその他の資産を2,000万円分取得するよう調整します。このように、他の相続人が不動産を取得し、その代わりに現金を多くもらう方法を「代償分割」といいます。
換価分割による方法
相続人全員が不動産を引き取りたくない場合には、不動産を売却し、その代金を分割します。これを「換価分割」と呼びます。ただし、不動産の売却には時間がかかり、市場価格より安くなることもあるため、早めの売却活動が必要です。
**注意**
遺産分割協議は、全相続人の同意がなければ成立しません。また、遺言によって特定の相続人に不動産を相続させる旨が記載されている場合、その内容が優先されます。
山林・農地が相続財産にある場合の相続とは
不動産の中でも特に扱いが難しいのが山林や農地です。
売却の困難さ
山林や農地は都市部の宅地と違い、買い手がつきにくく、売却に時間がかかります。特に山林は、利用価値が低いと判断されると市場価格も低くなり、管理放棄されるケースがあります。
維持管理の負担
山林や農地は収益を生まなくても、固定資産税や管理費が発生します。特に遠方にある場合、草刈りや境界確認などの維持が難しく、放置すると近隣トラブルに発展することもあります。
こうした資産を相続する予定がある場合は、生前に売却や相続人間での承継方法を話し合っておくことが重要です。
相続した不動産にかかる費用
不動産を相続すると、次のような費用負担が発生します。
– 固定資産税・都市計画税:毎年1月1日時点の所有者に課税されます。利用予定がなくても支払い義務があります。
– 管理費・修繕積立金:分譲マンションや賃貸物件には、共用部分の管理費や修繕積立金がかかります。
– 維持管理費用:空き家の場合、草木の手入れや防犯対策などの費用が発生します。
– 火災保険・地震保険:資産を守るために必要ですが、利用しない不動産では費用だけが重荷になることがあります。
不動産相続の流れ
不動産の相続手続きは以下の流れで行われます。
1.相続開始(被相続人の死亡)
2. 相続人調査・相続財産調査
3. 遺産分割協議の実施
4. 不動産の相続登記(2024年4月から義務化)
5. 納税・維持管理開始
重要なのは、相続登記義務化により、相続開始から3年以内に登記を行わなければならない点です。放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。
預貯金は相続したいが不動産は相続したくない方はすがの総合法律事務所へご相談ください
不動産評価額や相続分の試算
代償分割・換価分割の交渉支援
生前対策としての遺言作成・事前契約の提案
早期のご相談によって、不要な不動産の相続による負担やトラブルを避けるための最適な方法を見つけることができます。
執筆者情報

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