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遺言書は、財産の承継方法や相続に関する意思を明確に伝えるための重要な書面です。適切な遺言書を作成することで、相続人間の争いを防ぎ、円滑な相続手続きを可能にします。
しかし、遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれに作成方法や効力、メリット・デメリットが異なります。間違った形式で作成すれば無効になる可能性もあり、また内容に不備があれば相続人同士のトラブルを招く恐れもあります。
本記事では、遺言書の種類と特徴、選び方のポイントについて、弁護士としての実務経験を踏まえた見解を交えて詳しく解説します。
普通方式の遺言
普通方式の遺言は、法律で認められている標準的な遺言形式で、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。それぞれの特徴を理解することは、遺言の目的や状況に応じた最適な方法を選ぶ上で不可欠です。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自筆し、押印して作成する遺言です。
メリット
- 公証役場に行く必要がなく、費用がかからない
- 思い立ったときに作成や修正が可能
- 内容を第三者に知られずに作成できる
デメリット
- 形式不備で無効になるリスクが高い
- 紛失・改ざんの危険がある
- 家庭裁判所での検認手続きが必要
2020年からは、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が始まり、紛失や改ざんリスクを軽減できるようになりました。ただし、依然として形式不備のリスクは残るため、作成時には専門家による確認をお勧めします。
公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述に基づいて作成する方式です。
メリット
- 公証人が関与するため形式不備のリスクがほぼない
- 原本は公証役場で保管され、紛失や改ざんの心配がない
- 家庭裁判所での検認が不要で、速やかに遺言を実行できる
デメリット
- 財産額や条項数に応じた手数料が必要
- 必要書類の準備や日程調整が必要で、作成までに時間がかかる
公正証書遺言は費用がかかるものの、確実性が高く、将来の相続トラブル防止に最も有効な方法です。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま、公証人に存在を認証してもらう方式です。
メリット
- 内容を完全に秘密にできる
- パソコンや代筆で作成可能
デメリット
- 家庭裁判所での検認が必要
- 形式不備による無効化リスクがある
- 実務上あまり使われず、作成や運用に不安が残る
遺言書の種類ごとの選び方
遺言書の選び方は、費用、手間、秘密保持、そして確実性のバランスを考慮して決める必要があります。
- 確実に効力を発揮したい場合→公正証書遺言
- 費用を抑えて自分だけで作成したい場合→自筆証書遺言
有効な遺言を確実に遺したい場合
相続人間で争いの可能性がある場合や、特定の相続人に多く財産を残す場合は、公正証書遺言が推奨されます。
弁護士が関与すれば、相続に関連する法律や判例に基づき、争いを最小限に抑える遺言を設計できます。
相続人の手間を軽減したい場合
検認が不要な公正証書遺言を選べば、相続発生後に速やかに手続きを開始できます。
検認手続きには数週間から数ヶ月かかるため、これを省略できる点は大きなメリットです。
遺言書作成のご相談は弁護士へ
遺言書は一度作れば終わりではなく、家族構成や財産内容の変化に応じて見直す必要があります。
弁護士に相談すれば、最新の法律に基づいた有効な遺言書を作成できるほか、税務や遺留分などの複雑な問題にも対応できます。
執筆者情報

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