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ご依頼者情報
50代 女性
父親が死亡し、その後、祖母(父の母)が死亡したので、孫として代襲相続人となった。
祖母は遺言を残していた。
ご相談の背景
ご相談者様の祖母がお亡くなりになり、その相続人は、ご相談者の父親と、その兄弟姉妹数人でした。ご相談者の父親が祖母よりも先に亡くなっていたため、ご相談者は代襲相続人となりました。
祖母は、ご相談者に父親に土地を相続させる内容の遺言を残していました。
今後、どのような手続きを採るべきでしょうか。
弁護士へのご相談内容と弁護士による回答
ご質問1
「私は、父親が遺言で取得するはずだった不動産を取得できるのでしょうか。」
弁護士による回答1
本件のお父様のように、遺言で財産を受ける、つまり遺贈を受ける立場の人を「受遺者」といいます。
民法994条1項は、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」と規定しています。
受遺者である父親が遺言者である祖母よりも先に死亡していますので、父親に「土地を相続させる」との遺言は無効になります。
なお、遺言書に、先に父親が死んだら土地を孫(ご相談者)に相続させる内容の記載(予備的遺言といいます。)があれば、遺言は無効ではなくご相談者が土地を取得できるのですが、本件では記載がないので、原則通り無効です。
この場合、土地の相続は、ご相談者と、他の相続人(叔父叔母ら)との間で遺産分割協議をして決める必要があります。
質問2
「不動産の相続登記はいつまでに行わないといけないでしょうか。」
弁護士による回答2
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
また、遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の適用対象となります。
まず、遺産分割協議をして早期に解決し、協議結果に基づき3年以内に登記することを目指しましょう。
もし、遺産分割協議がなかなかまとまらず、相続登記の期限を迎えそうな場合は、法定相続による登記申請や相続人申告制度を活用することを検討しましょう。
最後に
本件のように遺言者よりも受遺者が先にお亡くなりになってしまったケースでは、受遺者のお子さんがそのまま相続できると思っている人が多いので注意が必要です。
遺言を作成する際は、このようなケースになる可能性も想定し、予備的遺言などの手当てをすべきです。
執筆者情報

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