個人年金保険金を受け取る権利が遺産に含まれるかどうか争われた事例

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依頼者情報

 

遺産額:3,000万円以下

相続財産の種類:預金・金融資産

争点別:遺留分を請求された、特別受益・寄与分

被相続人との関係:実の兄弟姉妹

 

事案の内容

 

 依頼者(長男)と相手方(二男)は、父親の死後、その遺産を分割することになりましたが、公正証書遺言がありました。その内容は、「遺産を長男と二男にそれぞれ60%:40%の割合で相続させる」というものでした。その他には、死亡後に長男を受取人と指定する個人年金保険の契約があり、その保険金の受取金額は1600万円以上ありました。遺産としての預金は100万円に満たないものでした。

 二男は、長男に対し、預金だけでなく、個人年金保険を60%:40%で分割するように求めました。長男としては、生前の父親の面倒をすべて自分だけが負担していたことや、二男だけが大学に進学させてもらい学費の援助を受けていたことからすれば、二男の要求は公平ではないと感じていました。
 二男が長男に対し、個人年金保険の分を含め700万円以上の支払いを求める裁判を起こしたため、長男は当事務所に解決を依頼しました。

 

当事務所の活動内容

 

 当事務所の弁護士は、依頼者と協議し、個人年金保険の契約時の資料が残っていないかどうかを確認しました。

 その結果、保険会社からの説明文書が見つかり、保険契約の制度・仕組みの説明がなされていました。弁護士が文書内容を精査すると、説明の中に、「継続年金は指定された継続年金受取人の固有の財産となります」との記載がありました。

 弁護士は、上記の説明文書を裁判に証拠として提出し、「本件の個人年金保険は長男の固有の権利であり、遺産分割の対象ではないから、二男に40%を受け取る権利はない」と主張しました。

 

結果

 

 裁判官は、当事務所の弁護士の主張を認め、「個人年金保険金を受け取る権利は長男の固有の権利で、二男に40%を受け取る権利はない」との判決をしました。なお、二男は裁判の途中で、遺留分として受け取る分があると追加の主張しており、その遺留分については裁判官は二男の権利を認めました。

 二男からの700万円以上の請求に対し、長男が200万円程度の支払いでの解決となりましたので、約500万円減額する結果を得られ、依頼者である長男も納得できる解決となりました。

処理のポイント

 

 保険金については、それが遺産に含まれるかどうか、保険契約の内容をよく確認する必要があります。

 一般的には、死亡保険金は受取人固有の財産とされていますが、本件は単純な死亡保険金ではなく、外資系保険会社の米ドル建の個人年金で、生前は被相続人が、死亡後に指定受取人が受領する内容でしたので、契約時の資料を踏まえて裁判での主張をしました。

 なお、保険金が遺産に含まれないとしても、遺産の額と比べてかなり高額である等の事情がある場合には、遺留分侵害額請求の対象になる可能性があるので、遺言作成や保険加入の際にはそのことを念頭に置く必要があります。

 

執筆者情報

菅野亮
菅野亮
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