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共有名義人の片方が死亡した場合の相続人は誰になる?
兄弟で共有している場合
例えば、兄弟で不動産を共有しており、兄が死亡した場合を考えてみます。
遺言があればその内容に従うことになりますが、遺言書がない場合は、兄の相続人が兄の権利を承継することになります。
兄に配偶者と子がいれば、兄の共有持分はそれらの相続人が承継しますので、兄の妻子と弟で共有状態が継続します。
兄に配偶者がいて子がない場合は、夫の親が存命であれば、配偶者と親が相続人になりますので、兄の配偶者、親、および弟で共有状態が継続します。
兄に配偶者や子がおらず、親もなくなっている場合は、弟だけが相続人になり、弟が兄の不動産の全ての権利を取得しますので、共有状態が解消され、弟が完全な所有権を取得することになります。
夫婦で共有している場合
例えば、夫婦で不動産を共有しており、夫が死亡した場合を考えてみます。
遺言があればその内容に従うことになりますが、遺言書がない場合は、夫の相続人が夫の権利を承継することになります。
・夫の相続人として、妻以外に子がいる場合:
夫の共有持分はそれらの相続人が承継しますので、妻と子との間で共有状態が継続します
・夫の相続人として、妻以外に夫の親がいる場合:
夫の共有持分はそれらの相続人が承継しますので、妻と夫の親との間で共有状態が継続します
・夫の相続人として、妻以外に夫の兄弟姉妹がいる場合:
夫の共有持分はそれらの相続人が承継しますので、妻と夫の兄弟姉妹との間で共有状態が継続します
・夫の相続人が妻だけの場合:
妻が不動産の全ての権利を取得しますので、共有状態が解消され、妻が完全な所有権を取得することになります
亡くなった共有者に相続人がいない場合
亡くなった共有者に相続人がいない場合にどうなるか考えてみましょう。
死亡共有者が生前に遺言を残している場合は、遺言書の内容に従うことになります。遺言があれば、相続人がいなくても、生前にお世話になった人などに対し、遺贈という形で共有持分を渡すことができます。この場合、権利を取得した新共有者と、他の共有者との共有状態が継続します。
死亡共有者が遺言書を残しておらず、相続人もいない場合ですが、民法255条では「共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。」とされておりますので、他の共有者が死亡共有者の権利を取得できることになります。
そして、上記の民法の規定に従って他の共有者が死亡共有者の持分を取得するためには、裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てる必要があります。
相続財産清算人は、死亡した被相続人の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させる業務を行います。特別縁故者(被相続人と特別の縁故のあった者)に対する相続財産分与がなされる場合もあります。
債権者への弁済や特別縁故者への財産分与を完了しても、共有持分が残余財産として残っていれば、相続財産清算人により、他の共有者に対して、共有持分の移転が行われることになります。
このような手続により、他の共有者が死亡共有者の権利を取得することになります。
共有名義人の片方が死亡した場合の相続手続きの流れ
1.相続人を確定させる
亡くなった共有名義人が生まれてから死亡するまでの戸籍を収集し、親族関係を調べることで、相続人が誰なのかを確定させる必要があります。
2.相続人全員で遺産分割協議を行う
相続人が確定したら、その相続人全員で遺産分割協議を行います。共有名義の不動産以外にも預貯金などの財産がある場合は、そのような相続財産についても協議して誰が何を取得するかを話し合います。協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成します。
3.相続登記や相続税の申告などの手続きを行う
完成した遺産分割協議書に基づき、相続登記を行います。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行う必要があります。
共有名義の不動産相続でトラブルを回避するためには?
不動産を単独で所有する場合と比べ、共有は権利関係が複雑で、共有者同士の意見相違により不動産の処分が難しくなる可能性が高いです。したがって、生前対策が重要になります。
1.共有持分を売却・生前贈与する
生前に他の共有者に共有持分を売却することで、共有状態を解消することが考えられます。共有者全員の同意のもとで、第三者に不動産を売却することも考えられます。
他の共有者に生前贈与することも考えられますが、贈与税に注意する必要があります。
2.遺言書の事前作成
先に述べた通り、遺言書がある場合には、共有持分の相続も遺言書の内容に従うことになりますので、共有持分の処理について相続人間で協議する負担を軽減することができます。
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